■ ファイナル・エレメント[序章]

この世に存在する全てのものは四つの元素より成り立っている。すなわち、「火」「水」「風」「土」である。それぞれの元素にはそれを司る精霊が存在し、その象徴たる力を発揮している。

「火」を司る精霊は、サラマンダーと呼ばれ、破壊を表し、全てを焼き尽くす力を持つ。 カイリプトン族の守護精霊である。

「水」を司る精霊は、ウンディーネと呼ばれ、慈愛を表し、全てを癒す力を持つ。 エイディア族の守護精霊である。

「風」を司る精霊は、シルフと呼ばれ、保護を表し、全てを守る力を持つ。 ブルカン族の守護精霊である。

「土」を司る精霊は、ノームと呼ばれ、育成を表し、全てを育てる力を持つ。 ヒューマン族の守護精霊である。

この四つの元素と、四大精霊の力の均衡によって、この世のバランスは常に保たれていると考えられていた。しかし、この世の理はこの元素だけでは成り立たないのだ。全てのものにはエナジーが存在し、四大精霊といわれる彼らにおいても、その力はエナジーの反映にすぎない。このエナジーこそが、『ファイナル・エレメント』である。最後の元素であり、全ての元素の源である。

■ 旅の始まり

[新暦0079]

度重なるプログメアの侵攻にニューアースの民は傷ついていた。 ヒューマン族のその類まれなる開発技術も資源が無くては役に立たず、 歴戦の勇者ブルカン族も敵の数の多さに苦戦を強いられ、 カイリプトン族に至っては魔力の源であるマナの著しい減少に悩まされていた。 マナがなければ、いかにカイリプトンの魔法が強力であっても、 とても、プログメアの侵攻を止める事はできなかった。 エイディア族はただ踊るばかりであった。

各種族の長、そして大部隊を率いる部隊長が一同に会し、 プログメアの進行状況を話会い、今後の作戦を練っていた。

 ブルカン族長ルカンが重い口を開いた。
「プログメアの開発した転送装置は厄介だ。」

割り入るかのようにカイリプトン族長イリプが追従する。
「ニューアース中の至る所に瞬時に現れよる。」

ヒューマン族長ユーマも話しに加わってきた。
「我々の開発した阻止装置も稼動に甚大なエネルギーが必要だ。」

エイディア族長イディアは踊っている。。。

イディアの踊りをちらりと見つめ、ため息混じりにユーマは言った。
「現状では、この城と、ラグラミア神殿、各キャンプ施設を保護するだけで精一 杯だ。」

ルカンが尋ねた。
「新しい武器の開発も行われていないようだが?」

「あぁ資源が底をついている。武器の作成には新たな資源が必要だ。」
ユーマは両手を広げ肩を軽くすぼめ、首を数回振った。

「我々も敵の多さに苦戦を強いられている。いかにブルカン族の戦士が屈強でも無限に沸く敵に対抗するのは困難だ。残る頼りはカイリプトン族の魔力だけか・・・。」

しばらくの沈黙の後、イリプが答えた。
「魔力も無限には続かないのぢゃ・・・。ここ最近の激しい戦いで、大気中のマナが激減しておる。強力な魔法も行使できん。これでは、とても、対抗しきれんのぢゃ。」

一族の長たちは一斉にため息を漏らすとイディアをジッと見つめた。

イディアは踊った。 皆萌えた。明日も頑張ろう。そう思えた。

ルカンは酒を樽ごとグイッと飲むと言った。
「武器もない。資源もない。エネルギーもない。マナもない。目の前に湧き出る敵にスタミナも続きはしない。まさに四面楚歌だな。最早、打つ手無しか。」

ユーマはルカンの酒樽を取り、ルカンに負けじと口いっぱいに入れた。

次の瞬間、ユーマはその全てを吐き出した。
「(○`ε´○)ぶーっー!! 何だこの酒は!!」
しばらくの沈黙の後、一斉に豪快な笑いが広がった。

「ブハハハ。羊乳を発酵させたものだ。この地では昔より、時期になると羊が沸いてな。その乳を発酵させて酒にするのが昔からの慣わしだ。新参ヒューマン様のお口には合いませんでしたか?」
さらに大きな笑いが波となってユーマに押し寄せた。

「野蛮人が、この場で以前のけりをつけてやろうか!」
ユーマは顔を真っ赤にしながら、腰の銃を抜き、ルカンに突きつけた。 ルカンは、その銃をグッと握り、銃口を反らし、もう一方の手で、 巨大な斧の柄を握り締めた。イディアの踊りもヒートアップする。

「まぁまて。まだ手がないわけではない。」
その落ち着きのある深いイリプの声に皆静まりを取り戻し、一斉にイリプを見つめた。

「何を言うかと思えば。何もないのだ。何もない状態でどう戦う。」
ユーマがイリプを問い詰める。

「ある。あるのぢゃ。」
イリプは退化し小さくなった目をカッと見開き、小さな声でユーマを宥める。

「まさか、あれか!」
ルカンが叫んだ。

「なんだ。あれとは!」

「あれも知らんのか。これだから新参者は・・・。」
ルカンはユーマを見下すかのように言った。

「なんだと!?」
ユーマは握られた銃をさっと引き寄せ再びルカンに向けた。

「まぁ、良いではないか。」
再びイリプが二人を宥め、話を続けた。

「おぬし達ヒューマン族の加工する宝石。そして、エイディア族の精製によって生まれる魔石。さらには、この大気に満ちるマナ。その全てはエネルギーを帯びそしてそれぞれの力を発揮している。宝石や魔石は装備品を強化する力をひめている。。。が!その力は一体どこから来るのぢゃ??」

「そんなものは宝石や魔石にもともと込められた力に決まっているだろう。それを我々が加工によって引き出しているのさ。」
ユーマは何をくだらないことを言っているのかとばかりにイリプの話を止めた。

「否。宝石や魔石にそのような力はない。宝石や魔石は全なるエネルギーの一部を発揮しているに過ぎないのぢゃ。」
イリプは持っていた杖をユーマに向け言った。

「全なるエネルギー??つまりは、あれか。何かエネルギーの源があって、宝石や魔石はそのエネルギーを反映していると。そう言いたいのだな。」
ユーマは銃を腰にしまうと再び席についた。

「いかにも。」
イリプは軽くうなずいた。

「エネルギーのアンテナが異なればその発揮される結果も異なる。宝石や魔石はそのエネルギーを受け止めるアンテナに過ぎないのぢゃ。加工や、精製はアンテナの感度を向上させるわけぢゃな。そして、大気のマナはそのエネルギーそのものが漏れたものなのぢゃ。」

「・・・なるほど。で、その源と言うのはどこにあるのだ?その源さえ手に入れれば、全てのエネルギーを操れるではないか。」

「誰もその存在場所、形、さらにはそれが真実かさえ知らんのだ。」
ルカンは答えた。

「しかし太古より言い伝えられており、我々もその存在を信じている。そして、我々は、その源のことをこう呼んでいる。」

「『ファイナル・エレメント』と・・・。」

「早速、そのファイナル・エレメントとやらを探そうではないか!!」
ユーマは立ち上がると叫んだ。

「うむ。はやる気持ちは分かるが、そう簡単にはいかんのぢゃ。今、前線が崩れれば、あっという間にプログメアに押し負けてしまう。」

「この状況だ、とてもではないが、戦力は裂けないな。」

「では、どうするのだ!?このままではエネルギーと資源が尽きるは時間の問題だぞ!?」

 

「私が行きましょう。」
一人のブルカンが立ち上がって言った。

「お主は?」
イリプが尋ねた。

「こいつは、南段1Fの階段前隊を率いるアステカだ。湧き出る銅鑼や鼻を押しのけ前線への補給路を確保し続けている。カン戦やタウロン戦、難関最前線を預かる部隊長には及ばないか遭難度は天下一だ。」
ルカンはアステカを呼び寄せ、肩を叩きながら紹介した。

「お主一人でできるのかな!?」
イリプはアステカをじっと見つめた。

「やります。」

しかし、皆は思った。
『遭難度天下一で探せるのかよ!!』 と・・・。

かくして、アステカはファイナル・エレメントを探すたびに出た。彼は、様々な地へ赴くことだろう。そして、仲間を探し、成し遂げなければならない。果てしない旅はこうして始まったのだ。もしアステカに出会うことがあるなら、君も参加できるかもしれない。この果てしなき偉大な旅に。